世の中にはたくさんの語学学習法がありますが、日本語と違う点に焦点を当ててインプットし、そしてネイティブのいる環境で間違いを気にせずアウトプットするのは、ひとつの効率のよい方法だと思います。英語と日本語の違いとして必ず押さえておきたいのは動詞の働きです。動詞は、自動詞か他動詞かにより異なる文型を取り、同じ動詞を使った文章でも文型が違えば文の意味が変わってしまいます。動詞はその後に続く文の構造を決める、いわば「線路の切り替えポイント」のような役割を担っています。そしてまた、英語では、文の最初の方に動詞とその否定語、助動詞が置かれことが、英語を話す人の性格にも大きく影響していると感じます。
日本語では、動詞要素は文の終わりに来て「するのか」「しないのか」は、最後まで聞かないとわかりません。例えば、『私はあなたのことを好き…ではない…かもしれない。』という文章。言われた側は、最初に「好き」と言われ喜んだのも束の間、まさかの否定や可能性を示す助動詞が最後に来て、いったいどっちなんだ?という気持ちになります。話す側からしてみれば、最後まで自問自答し考えながら話したり、場合によっては最初に思っていたのとは逆の答えを言うことも出来てしまいます。こんな日本語の語順が、いわゆる日本人の「柔軟性があるといえばある」、「はっきりしないといえばしない」というような評価を生み出すのかなと、つらつら考えることがあります。
一方の英語の動詞は先頭の方に置かれます。最初に来る主語「私は」の後に、助動詞(かもしれない)+否定語(ない)+本動詞(好き)の順で続きます。オランダ語は2番目に動詞要素が来るという約束がありますが、否定語が最後に来ることもあるので、どちらかというと英語と日本語の間と言えるでしょうか。この英語の「動詞が文頭近くに来る」語順のルールのため、英語で話すときは、「するのか」、「しないのか」を先にはっきりさせておかねば、と常々思います。話すときも、否定語は強く発音しないと、わかってもらえないので、意思表示は更に明確になります。『沈黙は金』ではなく、『沈黙は禁』。言いよどむのも「3秒ルール」の、3秒まで。あまり長くは待ってはもらえません。
私もこの日本語の語順のおかげでか、英語で話している時よりも日本語で話している時の方が、まだ少しは「優しい人」という印象を持たれます。(笑)